ゼラチンの医薬品への応用

生活水準の大幅な向上や世界的な高齢化に伴う疾病の発生により、健康に気を配る人が増えてきました。また、医学・薬学の急速な発展に伴い、医薬品の販売量も年々増加しています。ゼラチンの持つ良好な生体親和性や生分解性は、医薬品や医療用品において重要な役割を担っています。

カプセル

ゼラチンは、粉末の医薬品を正確に服用・嚥下できるように包装するハードカプセルやツーピースカプセルの製造に使用される素材です。消化されたカプセルは、胃の中で素早く薬物を放出します。グリセリンとゼラチンからなるソフトカプセルは、タラ肝油やビタミンEなどの油性の液状薬剤を包むのに使用されます。カプセルは、薬の劣化を防いで保存期間を長くし、薬の苦味や不快な臭いを防ぐ効果があります。

マイクロカプセル

ゼラチンは生体適合性に優れているため、数ミクロンから数百ミクロンの直径を持つゼラチンシェルとフィラーを含む医療用マイクロカプセルに適しています。ゼラチンシェルは、薬物をゆっくりと均一に放出することができ、血中の薬物濃度を安定させることができます。また、フィラーが酸素や水分と反応したり、微生物に汚染されるのを防ぐことができます。

ゼラチンスポンジ

泡立ちの良いゼラチン溶液をホルムアルデヒドで処理することで、安定した性質を得ることができます。手術時の止血用として、ゼラチンスポンジに加工されます。多孔質構造の中に抗生物質や凝固因子を充填することで、感染性創傷の予防や治癒促進が期待できます。ゼラチンスポンジは、人体で分解することができます。

人工血漿

変性ゼラチン溶液の粘度や浸透圧はヒトの血漿に近いため、緊急時に血液の代用として使用することができます。患者の循環系を回復させ、赤血球を駆動させて薬や酸素を運搬します。ゼラチン血漿は、患者さんが拒絶反応を起こすことはほとんどありません。数日で体外に排泄されるか、患者さんによって分解されます。

化粧品

コラーゲンペプチドは、スキンケア製品に広く使用されています。分子量が小さく、通常3000DA以下であり、皮膚の角質層を越えて真皮に入ることができます。コラーゲンペプチドは親水基を多く持ち、肌の潤いを保つ。繊維芽細胞の増殖を促し、コラーゲンの合成を促進させ、肌を若返らせます。コラーゲンペプチドの組成は人間の皮膚に似ているため、体内で分解されると皮膚に栄養を与えることができます。その優れた生理活性から、現在販売されているフェイスマスク、アイクリーム、スキンクリームなどの化粧品の多くにコラーゲンが配合されています。